猫に恋した絵師―歌川国芳展


 歌川国芳展、すごくよかったです!
 あふれ出るアイデアをどう表現するか考えながら、楽しく描いてたんだろうなあ、そしてサービス精神が旺盛な人だったんだろうなあ、と想像。その印象は、デザイナーの祖父江慎さんと重なるところがあります。

 ちょうど先日、サントリー美術館で広重の「殿様も犬も旅した 東海道五拾三次」を観たばかりだったので、風景画の大家といわれる広重と、奇想の絵師と呼ばれる国芳の個性の違いがよくわかりました。同じ年に生まれ歌川派の第三世代としてともに一時代を築いた二人。切磋琢磨する中でそれぞれの個性を伸ばしていったのだろうなあ、と。

 国芳展で記憶に一番残っているのは、「絵兄弟やさすがた 鵺退治」。絵兄弟とは、絵合せ遊びの一つで、劇中劇のように上部に元となる本絵があり、下部に対となる洒落のきいた駒絵が描かれているもの。人物や付随品が似ていることが基本です。「鵺退治」では頼政の絵の下に美人絵という構成。鰹節をくわえて逃げるネコを鵺に見立て、それを叱る女を頼政の家来・猪早太に見立てています。このネコの表情が最高。愛情を感じます。

 ほかには、東海道五十三次の宿場町名を地口(語呂合わせ)で猫の仕草として描いた「猫飼好五十三疋」はもちろん、浴衣を持った美人絵の躍動感も強烈に印象に残っています。どれも難しいこと抜きで「おもしろい!」ものばかりなので、子どもも楽しめると思います。

 浮世絵はもともと手元で眺めて楽しむもの。展示会場では人の頭の隙間からのぞくので、じっくり観るわけにはいきませんが、図録なら解説(謎解きといっていいかも)を読みながら好きなだけ眺められます(色の再現性は低いですが)。重かったけど、すでに何度も開いてます。いいお買い物でした。グッズもかわいかった〜。

 歌川国芳展は2月12日(火)まで! ネコ好き、どうぶつ好きは必見。



没後150年 歌川国芳展−六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリー
http://kuniyoshi.exhn.jp/