売れてほしい著者の本は、紀伊國屋で買いましょう

 「この著者は売れてほしい!」と思う本は、紀伊國屋で買いましょう。理由は一つ。紀伊國屋は全国の店舗での実売数(POSデータ)を「パブライン」という有料サービスで公開しています。それも1冊単位で、予約数もわかります。ここで数字が伸びる本は、全国の編集者の目にとまります。


 なぜ実売数が重要なのかと言うと、出版社の過半数はこのサービスを利用しています。特に書籍編集者は、売れている本の傾向や、著者の青田買い、作りたい本の企画の裏づけデータをとるために使います。使っていなければ使うべき。昔、上司から聞いた話では、紀伊國屋の全国での実売数は、全国の書店全体の売り上げにほぼ比例するということでした。ほんと?


 どんなに自信のある企画を考えても、社内稟議が通らなかったら本になりません。特に、数字だデータだとうるさい営業! 彼らを説き伏せるには、勘ではなく実績! データ! よほどのカリスマ編集者でもない限り、裏づけがなければ信じてくれないんです! 直感を頼りに生きてきたわたしに営業は厳しい! 甘ちゃんですみません!

紀伊國屋「PubLine」
http://publine.kinokuniya.co.jp/

紀伊國屋 店舗案内
http://www.kinokuniya.co.jp/store/


 利用料は月額10万円なので、個人で契約して元が取れるかどうかはわかりません。ちなみに、日版の「WIN」はパブラインに次いで人気です。他にもオリコン文教堂などいろいろありますが、業界内での信憑性という意味ではパブラインに尽きます。わかりやすい記事があったのでリンクをはっておきますね。でも2008年に書かれたものなので、ちょっと古いです。

日本著者販促センター「出版業界の豆知識」
本の売上を見るPOSデータには、どんなものがあるか
http://www.1book.co.jp/002156.html


 ちなみに、Amazonのトップセラーは偏りが激しく、書店での実売とは大きく異なるというのが常識だと思います。ただもしかしたら、ジャンルによってはAmazonを重視するところもあるかもしれません。というか、電子書籍が盛り上がっている昨今、わたくし時代に取り残されている感じがビンビンしますが、そのへん突っ込む知識と情報がないので気付かなかったことにします。すみません。


 ところで、なぜ同業者からのツッコミにビクビクしながらこんな記事を書いたかというと*1、8月31日に友人(と言っていいですか…///)がムックを出すからです。おそらくAmazonで予約している人が多いでしょう。「ネットを中心にうまくやれば売れる著者」と認識されるのが悔しいというかもったいないと思いました。だから、紀伊國屋で買ってね!


 紀伊國屋オンラインにまだデータがなかったのでAmazonにリンクするむなしさよ…。

 ※表紙画像はこちら。こんなのがつくれます。

*1:現役バリバリで書籍編集をやっている方からの、浅い知識の記事への優しいご指摘と手取り足取りのご指導、本気でお待ちしております。いろいろ教えてください